月経カップに興味を持っているあなたなら、一度は毒素性ショック症候群(トキシックショック症候群:以下TSS )という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今回はTSSについて知っておくべきことと、TSS発症を防ぐためのポイントをお伝えします。
毒素性ショック症候群(TSS)ってなに?
TSSとは、Toxic Shock Syndromeの略で、日本語では毒素性ショック症候群と呼ばれます。
これは黄色ブドウ球菌の毒素によって引き起こされる急性疾患です。
毒素性ショック症候群(TSS)の主な症状
高熱、嘔吐、日焼けのような発疹、下痢、湿疹、筋肉痛、めまいなど。
インフルエンザのような症状がみられる。
TSSは突然発症し、症状は急速に進行します。また場合によっては、四肢切断や死に至るケースもあるといいますが、早い段階で発見・治療することで、こういった事態は防ぐことが可能です。
TSSが疑われる場合は、直ちに医療機関を受診すること。
月経カップを使用している場合はカップを体内から取り出し、商品に同封されている取扱説明書を持って受診するようにしましょう。
非常な稀な病気あることうえにインフルエンザに似た症状のため、すぐにTSSと診断されないことがあります。
しかし、自分でTSSの症状を把握しておき、適切に医師とコミュニケーションを図ることで、診断の遅れを防ぐことができます。
TSSは衛生面を徹底すれば発症が防げるうえ、万が一発症しても早期発見できれば治療が可能です。発症した際に現れる症状などを知っておくことは、いざという時自分の身を守ることにつながります。
毒素性ショック症候群(TSS)って誰がかかるの?
性別、年齢に関係なく、誰でもかかる可能性があります。
原因はさまざまで、やけど、虫刺されや手術後の感染症、長時間のタンポンの使用や出産などからも発症することがあります。
毒素性ショック症候群(TSS)発症は非常に稀
これだけ聞くと、TSSって非常に怖い病気ですよね。
しかしながら発症は非常に稀とされており、予防をすることも可能ですので、不必要に恐れることはないと考えます。
米国では、月経のある人口100,000人につき、0.03-0.05人に発症するというデータ(参照記事2)があります。
それで…月経カップは安全なの?
毒素性ショック症候群(TSS)発症の可能性は、ゼロではありません。
しかし、TSS発症の可能性はタンポンに比べてはるかに低いとされています。
月経カップは1980年代に欧米を中心に市場に出回るようになってから現在まで使用され続けていますが、TSSの症例は数えるほどしかありません。
毒素性ショック症候群(TSS)はなぜ発症する?
TSSは、Staphylococcus Aureus もしくは Group A Streptococci の二種類のバクテリアによって引き起こされます。Staphは健康な成人の3~5割に常在菌として存在します。より具体的に言うと、Staphは約1~2割の月経のある人口の膣に存在していますが、その中でも更に1~2割のみがTSSの原因となるTSS-1毒素を生産する可能性があるといわれています。
Staphylococcus Aureus 及び Group A Streptococci は一般的に無害といわれていますが、下記の要素がすべてそろうと深刻な症状を引き起こします。
- 膣の中に Staphylococcus Aureus もしくは Group A Streptococci がいること
- 膣の中の水素イオン濃度(pH)が中和され、バクテリアが増殖しやすい環境になること
- バクテリアが毒素を生産するために必要な酸素があること
- バクテリアの血流への侵入経路が確保されること(例えば、膣内に切り傷や炎症がある)
毒素性ショック症候群(TSS)発症を防ぐ方法
月経カップの使用によるTSSの発症を防ぐためには、連続使用時間を超えて使用しないことや、カップを取り扱う時は必ず清潔な手で行うなど、常に衛生面に気を使う必要があります。
メーカーの提示する使用方法に従う
月経カップとひとまとめで言っても、商品によって取り扱いが異なります。
使用の前には、ちゃんとそれぞれの取扱説明書に従って使用しましょう。
- 月経カップを清潔に保つため、サイクルごとに煮沸消毒を行う
- 月経カップを触る前には手洗いを徹底する
- 連続使用時間を守る
- 付属品のポーチやケースも忘れずに洗い、清潔に保つ

月経カップ使用中は、快適すぎて着けてることを忘れそうになることがあるから、
タイマーをセットして交換のタイミングを逃さへんようにするのがおすすめ。
信頼できるメーカーが製造しているものを使用する
- 素材や保健当局への登録などを購入前にしっかり確認し、安全なものを選ぶ
- 体内に入れるものなので、値段だけで判断しない
月経カップって高いですよね。でも、それには理由があるんです。
あまりに安価なものは安全性が低いことも考えられますので、月経カップ購入の際は値段以外の視点でも商品をチェックすることをお勧めします。
メーカーによっては購入後のサポート(購入後にメーカーに連絡できる窓口など)は一切行っていないところもあります。それって、いくら安くてもちょっと不安ではないでしょうか?
月経カップは通常、衛生用品ですので購入後の返品等はできないことがほとんどです。
代わりに、信頼できるメーカーはお客様相談窓口を設けているところが大半ですので、そういった点も考慮すると安心かもしれません。
是非とも情報収集は面倒がらずに行ってください!
こんな時は月経カップの使用を控える
- 膣内に傷や痛みなど、不調や不快感がある場合
- 月経カップのサイズがあっていない場合
- 感染症などの疑いがある場合
せっかく生理を快適に過ごすためのアイテムで健康を損なってしまっては元も子もありません!
不調を感じる場合は、無理はしないようにしましょう。
月経カップは正しく使用すれば快適で安全
以前はインターネットでしか購入できなかった月経カップも、最近は店頭で見かけるようになり、より身近に感じる機会が増えました。
より多くの人がその存在を知り認識するようになれば、月経カップのいちファンとしてとっても嬉しいことです。
ただ、月経カップは体内に装着して使用する一般医療機器であることを忘れてはいけません。使用する側が正しい知識やリスクの可能性について知っていることは、自身の安全と健康を守ることに直結します。
月経カップは正しく使用すれば快適で安全性が高いものですので、日本でももっと使用する人が増えたらいいなぁと思っています。
この記事を読んで、
『TSSはとっても稀な病気』
『TSSは怖い病気だが、自分の意識次第で予防が可能』
そして『万が一TSSを発症しても、早期発見できれば治療できるため、症状を知っておくことが大切』
ということがお伝え出来ていたら嬉しいです。
当サイトではこれからも月経カップをはじめ、生理を快適に過ごすためのに関するお役立ち情報をどんどんアップしていく予定です。ご興味があれば、ブックマークしていただけたら嬉しいです。
それでは、ハッピーな生理ライフを♪
参照記事
NHS: Toxic shock syndrome
Menstrual toxic shock syndrome: case report and systematic review of the literature
PMC: US National Library of Medicine National Institute of Health
Detection of Staphylococcus aureus biofilm on tampons and menses components
WebMed: Toxic Shock Syndrome
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