与論島には奄美群島のみで製造される本格焼酎である黒糖焼酎『島有泉』の蔵元があります。
与論島に来るまで黒糖でつくられた焼酎があることを知らなかったものの、こちらに来てからどこの居酒屋でも『島有泉』の取り扱いがあるため大変気になっていたのです。

今回は蔵元見学をしていただけるとウェブサイトに書かれているのを見かけたため、早速電話で予約をして有村酒造に行ってきました!
有村酒造

有村酒造が蔵を構えるのは与論島で一番栄えている茶花(ちゃばな)内。
与論島唯一の酒蔵で、与論の人が島の酒というとこの蔵で醸された『島有泉』を指すのだそう。
ちなみに茶花にあるお酒屋さん『フロント』ではいろんな色の島有泉のTシャツが販売されており、島滞在中に島有泉ファンになった私はそのTシャツを一枚ゲットして結構な頻度で着用していました。
有村酒造
鹿児島県大島郡与論町茶花226-1
黒糖焼酎『島有泉』

黒糖焼酎は奄美群島(大島税務署管内)のみで醸すことが認められている焼酎で、本格焼酎の中でもアルコール度数が高いこと、そして黒糖が原料なのにもかかわらず糖質ゼロ、プリン体ゼロが特徴のお酒です。
黒糖焼酎のアルコール度数は30度と高いものが多い中で、有村酒造の『島有泉』は20度の焼酎が一般的です。
その理由は島の宴会に用いられる『与論献奉(よろんけんぽう)』をする際に無理がなく、またみんながおいしく楽しく飲めるようにという想いがあるからなのだそうです。
有村酒造の酒蔵見学

当日有村酒造を訪れると、工場長の有村晃治氏が蔵内を案内してくださいました。
蔵に入った瞬間に焼酎特有の香りを感じます。
まず最初に製造工程がまとめられた資料を渡され、それをもとに実際の機械を見せていただきながら黒糖焼酎のつくり方を説明していただきました。
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- 原材料について
タイ米は鹿児島県酒造組合が政府を通して仕入し、各蔵元に分配される。
黒糖は奄美酒造組合が沖縄県より仕入れ、各蔵に分配。
与論島内で採れる黒糖はすべてザラメに加工されるため、黒糖焼酎をつくるのにつかわれる板状黒糖は沖縄の離島からしか入手できないそう。 - 洗米・浸漬・蒸米
こちらの機械は『製麹機』。
洗米・浸漬・蒸米を行った後に白麹菌を散布し、約40時間熟成させて麹をつくります。 - 1次仕込み
出来上がった麹を甕に移し、与論島の水(硬水!)と酵母を加えて4~5日かけて発酵を促します。
- 黒糖溶解
黒糖焼酎造りで使用されるのは、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作られる含蜜糖(がんみつとう)からできる板状黒糖。
この板状黒糖を溶解タンクに入れ、蒸気で溶かしていきます。
- 2次仕込み
一次仕込みで出来上がった醪に溶かした黒糖を入れ、10から14日かけて発行を促します。
- 蒸留
2次仕込みの熟成醪を蒸留器で蒸留していきます。
有村酒造でおこなわれるのは、通常の気圧下で行う昔ながらの『常圧蒸溜』という方法。
高温で蒸留するため、風味や香りなどのもととなる原料由来の成分がお酒にうつりやすくなると言われています。
- 冷却
冷却器を使用して出来上がった原酒を冷やしていきます。
原酒には多くの油分が含まれており、液体を冷やしたタイミングで油を除去していきます。
柄杓を使用した手作業で!
こちらが取り除かれた油分。
うっすらと沈んだ水分と分厚い層に分かれた油分が見られます。 - 貯蔵
貯蔵タンクにて熟成させていきます。
- 割水
原酒を目指す度数別に加水していきます。
このプロセスで使用されるのは軟水器で柔らかくした水。
ここで硬水を使用すると焼酎がとても辛くなってしまうのだそうです。 - 瓶詰め
- 製品チェック
製品の傷や汚れ、ゴミなどが入っていないか確認していきます。
- ラベル貼り
ラベルを張り、出来上がった製品を再びチェックします。
- 出荷
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サトウキビの収穫が始まるのは12月。
そして一般的に黒糖焼酎の仕込みが始まるのは1月頃と言われています。
有村酒造では設備の関係で10月頃には仕込みをはじめ、作りだめをして順次蒸留していくのだそうですが、今年は材料がまだ揃っていないため『待て』の状態なのだとおっしゃっていました。
酒蔵見学の予約方法

有村酒造の蔵元見学は電話での事前予約が必須です。
住所 | 〒891-9301 鹿児島県大島郡与論町茶花226−1 |
見学受付日 | 月~金 9:00~12:00 / 13:00~17:00 |
見学料 | 無料 |
電話 | 0997-97-2302 |
備考 | 試飲・直売あり |
本日のお土産

本日のお土産はもちろん島有泉!
居酒屋さんではしょっちゅう飲む機会がありましたが、ホテルの部屋でも飲めるのが嬉しいです。
アルコール度数が20度と焼酎の中では比較的飲みやすく黒糖焼酎の中でもすっきりした味わいが特徴で、私のように焼酎がお得意でない人間でも飲みやすいお酒なのでお土産にも良さそうです。
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
素敵な一日をお過ごしください。