山廃仕込・木槽天秤搾りの『不老泉』を醸す上原酒造へ行ってきた<滋賀・高島>

まちあるき

『不老泉』を醸す上原酒造の酒蔵見学に行ってきました!

上原酒造のお酒の特徴のひとつに天秤木槽搾りをしているというものがあり、全国でも数少ない木槽を使用した搾りを行っている蔵です。

酒蔵見学ではその珍しくも貴重な木槽を見るチャンスがあるかも?という事で、以前よりチャンスが来るのを待ちわびていました。

今回は幸運なことに蔵見学の受け入れ期間に滋賀を訪れることができたため、色々とお話を伺ってきました。

上原酒造

この日はあいにくのお天気
雨にも負けず、高島まで行ってきました!

文久2年(1862)創業の上原酒造は『旨口』のお酒を醸す、滋賀県は高島市の酒蔵。

高島市は清らかで豊かな水源で知られており、上原酒造以外にも川島酒造(松の花)、池本酒造(琵琶の長寿)、そして福井弥平商店(萩乃露)が蔵を構えるエリアです。

上原酒造は自家製米・山廃仕込・木槽天秤しぼり木桶仕込み…というとっても手のかかる昔ながらの手法でこだわりのお酒を醸す蔵としても知られており、複雑で奥行きのある独特の旨みとコクのある味わいが特徴です。

上原酒造の酵母を添加しない山廃仕込&天秤木槽搾りについてはこちらの記事をご覧ください

上原酒造
滋賀県高島市新旭町太田1524

酒蔵見学

事前にメールで連絡し、時間少し前に滋賀県高島市にある上原酒造に到着。

中に入ってみると蔵が思っていた以上に奥行きのある広い建物だったことに気づいて驚きつつ、サンダルをお借りして蔵の奥まで案内していただきました。感激!

この日はまだ最後の醪が搾り待ちでスタンバイしており、もう明日にでも搾りますよ!とおっしゃっているのを見せていただきました。
ほとんどぽこぽこした動きがなく、確かに見た目的にもそろそろって感じでした。

上原酒造では循環式の精米機を使用して自家製米しています。
お米はほぼ契約農家から仕入れたもので、中には杜氏さんが栽培したお米なども使用しているそう。

精米機周辺には米袋に入れられた大量の酒粕が保管してありました。

昔は奈良漬けを付ける家庭が多かったため酒粕の需要が高かったものの、今ではほとんど売れなくなってしまったため、そのほとんどを廃棄物として処理するほかにないとお困りの様子でした。
酒粕を廃棄物として処理するのはエコ・手間そして金銭的になんかすごく勿体ない気がします…何かに使えたりしないものなのでしょうか。

奈良の今西清兵衛商店では一部を鹿のエサとして使っている、と聞きましたが飼料として酒粕を使うのは一般的ではないのかしら。

こちらはお米を蒸すときに使用する甑。
木製の甑を使用すると保水性が適切に保たれるため、ステンレスなどほかの材質のものを使用してお米を蒸しあげた時と比べ、最も理想的な量の水分を含んだお米の仕上がりになるのだそうです。

そして杉材を使用した木桶。
全て職人の手造りで誰でも作れるものではないながら、最近は造り手が減少しているのだそうです。

木の道具がいい感じにこげ茶になっているのは、夏の間に長期使用し続けられるよう柿渋を塗っているからなんですって。
道具が全ていい感じにアンティークな色をしているのが印象的でした。

木槽天秤

こちらは上原酒造の販売所に展示されていたもの。
木槽のしくみが分かりやすく解説されています。

今回、上原酒造に2台ある木槽を見せていただきました。
まだ中に醪が入っており、搾りの最後の段階である『責め』の状態でした。

1台は約50年前より使用しているもので、一時大手酒造メーカーの下請けをしていた際は使っていなかったものの復活させたもの。
もうひとつは廃業した酒蔵より譲り受けたものなのだそうです。

かつてはこの重石(ブロック1個で約1tt)を吊り下げたり、搾りの段階によって位置をずらす作業などの全てを人の手で行っていたそう。
その名残で、天秤棒の左端上にはいくつもの突起(しるし)が残されていました。

こちらのエリアにいる間にお酒が絞られて嵩が減り、ガタンッと音を立てるシーンが2回ほどあったのでびっくりしてしまいました。

機械であれは通常20時間程度で搾りきれるものが、木槽搾りだと3日もかかります。
その間、定期的に様子を確認し重石の重さや位置を調整して搾り続けるのだそうです。

赤いパレットの上に立って槽の中を覗いてみた図。
搾り始めは木槽の淵まであったという酒袋がぺしゃんこに押され、かなり底の方まで沈んでいました。

木槽の横には山積みにされた酒袋が。
遠目にもかなりしっかりした素材で造られているように見えたのが印象的でした。

日本全国を探しても木槽天秤でお酒を搾っている蔵は多くなく、更に全量を木槽天秤搾りしている蔵はほとんどないと言います。
(こちらでは『木槽搾りをしているのは全国を探しても6蔵くらいかな?』とおっしゃっていました)

本当に貴重なものを見せていただき、大変勉強になりました。

今回のお土産は!

圧巻のコレクション

普段ありがたくいただいているお酒がつくられる場所を見せていただける、というのは本当に素晴らしい体験でした。

上原酒造ではお酒造りが終わってから1か月程度の期間、事前予約にて酒蔵見学を受け入れているそう。
そうそうない貴重な経験ができて大感激です。

今回は『山廃仕込 無ろか(生) 酒母四段仕込』『酵母無添加山廃仕込み 辛辛』『不老泉 特別純米 生』そして酒粕をゲットしました。

ここ滋賀では買えない(と私が勝手に感じた)やつを買いました

木槽天秤絞りで搾られたものは雑味が酒粕に残るため、お酒は柔らかい味わいになるのが特徴だと言われています。
大切に手間暇かけて搾られたこちらの3本を開栓する時が楽しみです!

酒粕は搾ってすぐのものを網で焼いてお砂糖をかけて食べるとすっごく美味しいそう。
そんな食べ方は初めて聞きましたが昔はそれがおやつだったそうで、大変興味がわきました。

ちなみに木槽天秤しぼりで搾られた酒かすには、機械で搾られたものより多くのアルコールが残っているのだそうです。
酒粕を食べるときはアルコールにも気をつけないといけなさそうですね。笑

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
素敵な一日をお過ごしください。

個人的な定番酒・『不老泉 山廃仕込 純米吟醸 原酒』を飲んでみたお話はこちら↓

意図せず出来上がった、自家熟成の『不老泉 山廃仕込 純米吟醸 うすにごり 生原酒』を飲んでみたお話はこちら↓

混ぜて冷やすだけの酒粕レアチーズケーキをつくってみたお話はこちら↓

日本橋にある滋賀県のアンテナショップ・ここ滋賀販売会で『不老泉』をゲットしたお話はこちら↓

参照:
上原酒造 | 滋賀県高島市の蔵元です。不老泉。此の深みのあるお酒を御賞味下さい。 (furosen.com)

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