島原半島には、前から気になっていた『はねぎ搾り』のお酒を醸す酒蔵『吉田屋』があります。
はねぎ搾り、とは天秤木槽搾りのこと。
私が好きでよく飲んでいる『不老泉』のラベルに書いてあるものと同じ製法ということで、興味津々だったんです。

今回はせっかく南島原まで行くことができたので、はねぎ搾りをはじめ手造りで丁寧にお酒を醸している吉田屋さんにてお酒をゲットしてきました。
雨の日の島原半島を走り回ったお話はこちら↓
吉田屋

大正6年創業(1917年)の吉田屋は、お酒造りの工程ひとつひとつをすべて手作業で行う酒蔵です。
吉田屋の主要銘柄は『萬勝(ばんしょう)』。
雲仙の伏流水が湧き出る井戸の水を仕込み水に使用してお酒を醸しています。

日本でも数少ない『はねぎ搾り』というとっても手間のかかる製法で出来上がったお酒は、雑味のない、きれいな味わいのお酒が出来上がるそうです。
吉田屋
長崎県南島原市有家町山川785
はねぎ搾り

『はねぎ搾り』は『はね木』と呼ばれる巨木とおもしを使用し、てこの原理を利用してお酒を搾る方法。
天秤搾りと呼ばれることもあります。
まず木槽に醪を入れた酒袋を重ねて並べ、酒袋全体に均一に力がかかる様に押し蓋をします。
そしてその上に石などのおもしを使っててこの原理で上から圧力をかけ、お酒を搾っていきます。
吉田屋では、ひとつ16kgの重石を最大60個も吊るすそう。
重石は軽すぎるとお酒が絞れないものの重すぎても酒袋が破れてしまうため、絶妙な調整が求められる作業なんですって。
はねぎ搾りの主な特徴
- 伝統的な製法である
- 搾りきらないことで雑味のない『ええとこどり』のきれいな味わいになる
- ゆっくりお酒を搾るのでまろやかな味わいとなる
吉田屋では、一時は効率化などから機械でお酒を搾る方法にシフトしてしまいましたが、独自性のあるお酒を醸すという目標を掲げた際に伝統的な製法である『はねぎ搾り』を復活させたのだそう。
ちなみに、私の大好きなお酒『不老泉』を醸す上原酒造でもこちらの製法が使用されています。
『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』

なでしこの花酵母を使用して醸されたお酒で、アルコール度数が14度と低めなので飲みやすいと評判のお酒。
また香りが華やかで、辛口ながらも甘味を感じるタイプのお酒なんだそうです。
『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』スペック


酒米 | 五百万石 |
精米歩合 | 60% |
使用酵母 | なでしこ酵母 |
日本酒度 | 2 |
酸度 | 1.2 |
アミノ酸度 | ー |
『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』に使用されているなでしこ酵母は、主にフルーティーな香りとふくよかな味わいが特徴のお酒が出来上がるそう。
数値だけ見ると淡麗系の味わいのようですが、直売所では甘味があって飲みやすいと教えていただいたので、どんな味わいとなっているのかとっても興味津々です。
『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』テイスティング

程よく甘みを感じる瑞々しい香り。
フルーティーで軽やかな味わい。
優しい甘味と酸味のバランスがよく、するっと喉を入ってきました。
後味はすっきりしていて、とても飲みやすいです。
苦味はあまり感じませんでした。
お酒自体が優しい味わいなので、一緒に食べるならば淡い味付けのものと相性がよさそうだと思いました。
『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』を飲んでみて

手間も時間もかかる製法はねぎ搾りでつくられた『萬勝 はねぎ搾り 純米吟醸』。
初めて味わいましたが、とても飲みやすくきれいな味わいで美味しかったです。
辛口のつくりではあるもののまろやかな旨味も感じられ、また飲みたくなる味でした。
小さな蔵で丁寧に手造りするお酒とのことで、量産はできないのだそう。
どこでも手に入るお酒というわけではないので、今回いいタイミングで味わうことができて良かったです。
またいつか出会えたら飲みたい…!

次回は杵の川酒造の『きのかわよかよか』に行ってきたお話です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
素敵な一日をお過ごしください!