私は日本酒が好きで、普段からよく飲みます。
でも最近気づいたことのひとつに『好きだけど、あんまり知らない』というのがありました。
日本酒ってどこでも買えるし、種類も膨大にありますよね?
そんな中、ラベルの雰囲気だけで買った日本酒がいざ飲んでみると自分の好みではなくがっかりすることもしばしば…
そんな状況を避けるために、そしてゆくゆくはボトルにある情報を見て『これってきっとこんな味やな』と想像できるだけの知識をつけるため、ちょっとずつ日本酒について勉強しようと思っています。
いつの日か自分の好き、苦手、だけでなく周りにもわかりやすくどんな日本酒だったのかことばで表現できるようになりたい!

日本酒ってなに?
日本酒とは酵母の発酵によって醸す、醸造酒のひとつ。
原料は米・米麹と水で、並行複発酵という発酵方法により造られています。
並行複発酵 = 米のでんぷん質をブドウ糖にかえる糖化と、ブドウ糖をアルコールに変える発酵が同じタンク内で同時に行われる。世界でも珍しい発酵方法なのだ!
原料である米と水の風味や質・そして醸造家のスキルが味に表れやすく、同じ日本酒であっても地域や蔵によって全く異なる日本酒が出来上がります。
お酒の種類あれこれ
- 醸造酒: 日本酒、ワイン、ビールなど
原料(穀物や果実など)を発酵させてつくる
アルコール度数は低め - 蒸留酒: 焼酎、ウィスキー、ウォッカなど
醸造酒を蒸留してつくられる
アルコール度数は高め - 混成酒: 梅酒、リキュールなど
醸造酒や蒸留酒に薬草や果実、甘味料などを加えたもの
例えば香りづけのために木製チップを投入すると混成酒となる
日本酒の分類と特徴
日本酒はまず原料の違いを基準として『特定名称酒』と『普通酒』に分けられますが、特定名称酒は『原料』と『精米歩合』を基準として、更に8種類のカテゴリーに分けることができます。
日本酒のラベルには純米大吟醸、とか本醸造、とか書いてある、あれのことです。
日本酒(特定名称酒)は全部で8種類に分類できる!
原材料
原料は米・米麹と水だけか、醸造アルコールが添加されているかの2種類に分けられる
精米歩合
原料の米をどの程度削るかで4段階に分類する



これだけ見ると、結構シンプルな話のようにみえるけど…。
原材料による分類
原材料による分類は、米・米麹そして水に醸造アルコールが添加されているか、いないかの二種類。
本醸造系
(米・米麹+水+醸造アルコール)
醸造アルコールを加えることで味や香りが整えられすっきりとシャープな飲み口になりやすく、味のバランスがよい。
純米系
(米・米麹+水)
米麹の割合は15%以上と決められている。
純米系は米の旨みをしっかりと感じられ、自然な香りを楽しめるものが多い。
醸造アルコールの原料はサトウキビの搾りかすである廃蜜糖など。
体に害はないといわれています。
また、本醸造系に添加できる醸造アルコールは白米の総重量の10%以下という決まりがあります。

精米歩合による分類
原材料によって分けられた二つのカテゴリーの中から、さらに4つのカテゴリーに分類されていきます。
米の外側を削ることを精米といい、精米歩合が5%違うだけで味に大きく影響します。
なぜ精米するかというと、米の外側に多く含まれるたんぱく質や脂質などが雑味の原因になるからだそう。
- 高精米大吟醸 50%以下
米を半分以上削って造る日本酒。
大量の米から少ししか作れないので高級酒になる。
雑味が少なく、透き通った味わいが特徴。 - 吟醸酒 60%以下
大吟醸よりもふくよかな味になることが多い。
精米歩合60%以下のお酒。 - 特別酒 60%以下
こだわった造り方で爽やかで瑞々しいものが多い。
特別な製造方法を用いたものは『特別』と表現され、ラベルに表示する必要がある - 低精米本醸造酒 70%以下
精米歩合が70%以下のものから精米歩合による名称が付き、それ以上だと表記はできない。
純米酒の中には、80%、90%の低精米の銘柄もある。
8種類の特定名称酒の呼称
| 本醸造系 | 純米系 | |
|---|---|---|
| 50%以下 | <大吟醸酒> 雑味が少なく、フルーティーな香り高いのものが多い | <純米大吟醸酒> クリアな味わいだが、米のコク・旨みが感じられるものが多い |
| 60%以下 | <吟醸酒> スッキリしており、華やかな香りとキレのある余韻が特徴的 <特別本醸造酒> 精米歩合60%以下、または特別な製造方法のお酒 | <純米吟醸酒> 味と香りのバランスが良く、米の旨みが際立つものが多い <特別純米酒> 精米歩合60%以下、または特別な製造方法のお酒 旨みやコクがある |
| 70%以下 | <本醸造酒> 飲用温度帯が広く、和食に合わせやすいものが多い 爽やかで瑞々しく飲みやすいものが多い | <純米酒> 精米歩合の規定なし 米本来の個性があり、銘柄によって様々な味になる |
普通酒
(特定名称酒の規定から外れたお酒を指す総称)
- 規定量以上の醸造アルコールが添加されているもの
- 原料に糖類、甘味料、酸味料などを添加したもの
- 醸造アルコールが添加されており、精米歩合が71%以上のもの
- 麹米使用割合が15%以下のもの
特別な『造り』の場合、説明表示が必要になります。

『造り』の違いについて
古来より伝わる日本酒製造は、時代を超えて進化してきました。
そのため、同じ工程の中にも蔵によって多種多様の手法を取り入れており、様々な個性をもった日本酒が造られています。
下記は、代表的な『造り』をまとめたものです。
酛(酒母)造りによる違い
日本酒のもととなる酛(酒母)を培養する手法による違い
山廃(やまはい)
明治時代に生まれた手法。
自然界の乳酸菌を使う手法は生酛と同じだが、麹米ではなく水麹を使うため山おろしの作業が不要。
『山おろし廃止』の意味。
生酛(きもと)
江戸時代に確立された手法で、自然界に生息する乳酸菌を取り込んで培養する。
『山おろし』(桶の中の蒸し米と麹を舟を漕ぐときに使う櫂(かい)のような道具ですり潰す作業)が特徴的。
水酛(みずもと)
生米を水に浸して乳酸菌発行を促した『そやし水』で発酵させる方法。
室町時代から続く手法で、現在は奈良県の一部でのみ行われている。
速醸(そくじょう)
自然界の乳酸菌ではなく人が乳酸を添加することで酛をつくる方法。
生酛や山廃の半分程度の時間で造ることができる。

搾るタイミングによる違い
同じ造り、同じタンクで仕込んだ日本酒でも、
醪(もろみ)を搾るタイミングによって味わいが異なる
- 開始あらばしり
日本酒の醪を搾る上槽の時に圧縮機から最初に出てきたお酒
フレッシュで荒々しいがすっきりとした味が特徴 - 上槽中取り
『あらばしり』に続いて出てくるお酒
透き通っており、バランスの取れた香りと味が特徴で酒質の良い部分
『中垂れ』『中汲み』とも呼ばれる - 終了せめ
『中取り』のあと、圧縮機に残った醪にやさしく圧力をかけて搾りきる最後のお酒
雑味が多いとされるが芳醇な味わい
単体ではなくブレンドして販売されることが多い
後処理の違い
濾過や加熱処理の有無など
搾った日本酒の後処理の方法によっても名称が異なる
無濾過生原酒
上槽後の日本酒を、加熱や濾過などの処理を一切せずに瓶詰めしたお酒。
日本酒本来の味が出やすい。
生酒
加熱処理を一切行わないお酒。
瓶内の酵母が生きているため、味の変化が速いが火入れしたお酒よりも旨味を楽しめる。
火入れ
加熱殺菌したお酒。
通常は上槽後と出荷前の二回行う。
上槽後のみ加熱したものは『生詰め』、出荷前のみ加熱したものは『生貯蔵酒』とよぶ。
特別な製法
通常のつくりとは異なる特別な日本酒
スパークリング
炭酸数を含む、発泡性のある日本酒。
人工的に炭酸を注入するものと、アルコール発酵中の醪を瓶詰めするものがある。
貴醸酒
通常は水を使う『仕込み』に、水だけではなく日本酒を使用したもの。
より濃厚で甘い味になる。
古酒
一年以上貯蔵した日本酒。
貯蔵することで徐々に着色し、山吹色や琥珀色に変化する。
常温での熟成と氷温での熟成の二種類がある。
まだまだ勉強は続く…
日本酒、奥が深すぎると思いませんか?
材料はお米とお水(ものによっては醸造アルコールも)だけなのに、そもそもの原材料の風味や質、醸造家の技術をはじめ、その後の製造工程のひとつひとつの違いで仕上がりが大きく変わってくるなんて。
普段何気なく飲んでいる日本酒ですが、これからは製造方法にも注意を払ってその違いを楽しんでいきたいと思います。
それでは、お付き合いただきありがとうございました。
今日も良い一日をお過ごしください!


