先日朝日酒造主催の『あさひ日本酒塾ビギナー編』に参加してからというもの、すっかり自宅できき酒をするのにハマっています。
ただただお酒を飲むのもいいけれど、『この香りは~のようだな』とか『~みたいな味がする』などと自分なりに新しい発見をしていくことで、よりお酒を飲む時間が楽しくなってきた気がします。
という事で、今回は『あさひ日本酒塾ビギナー編』にて学んだきき酒の方法を実践しつつ、お気に入りのお酒である松瀬酒造の『松の司 純米吟醸 楽』を飲んでみました。
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『久保田』朝日酒造主催・あさひ日本酒塾ビギナー編に行ってきたお話はこちら↓
きき酒の方法

こちらに、簡単にできるきき酒の方法をまとめてみました!
きき酒をすると日本酒の特徴や状態を認識し、言語化して伝えることができるようになります。
自分の好みが把握しやするなると同時に、新しいお酒を見つける際により自分の好きな味わいにたどり着きやすくなるのがきき酒をする利点だと感じています。
使用する酒器
きき酒をする際は味だけでなく日本酒の色や香りを見られるものが適しているため、底は丸っこく上は少しすぼまった形の酒器が使われます。
素材は磁器製のきき猪口、またはガラス製のものを使用しましょう。


色を確認したい方は白磁の酒器が向いています。
また特に表面がつるりとしたものだとお酒の色がしっかりとチェックできます。
上部分が少しすぼまったワイングラスなどもきき酒に向いているので、自宅でも気軽に行えますね。
金属製や木製の枡、漆器の酒器は日本酒のにおいや味に変化をもたらすため避けるようにしましょう。
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あさひ日本酒塾では、このように透明のプラカップの下に蛇の目を印刷した紙を敷いてきき酒をしました。
この方法だと、自宅にきき猪口がなくてもお酒の色・にごりなどが確認しやすいのでいいですね!
温度
きき酒を行うのに最適とされている温度は『常温(20℃前後)』。
ですが、極端に冷たい/熱くなければ美味しく飲める温度(15℃くらい)でもいいそうです。
冷蔵庫で保管していたお酒は冷たいと香りや味の印象が変わってくるため、常温に戻してからきき酒してみてください。
きき酒の流れ

- 1お酒を見る
色の濃さ・透明度の高さ・にごりの有無やとろみなどを確認
- 2上立ち香を感じる
酒器に鼻を近づけ、最初に感じる揮発性の香りをチェックする(上立ち香)
- 3酒器を軽く回す
中に入った日本酒が空気に触れやすくなるよう、酒器を軽く回してから香りをかぐ
お酒が酸素に触れることで、より豊潤な香りが楽しめる - 4日本酒を口に含む
口に含みアタック(最初に感じる味)を確認
その後、舌の上に広がる味を感じる - 5含み香を感じる
お酒を口に入れたまま口から息を吸い、鼻から息を吐く
鼻を抜ける香りを感じる(含み香)1秒ほどお酒を転がした後、自然なタイミングで飲み込む
- 6余韻を感じる
のどごしを確認した後は余韻の長さをチェック
また、お酒が喉を通過ぎた後に鼻を抜ける香りも意識する
この時にはアルコールの香りはなくなっているため、より正確に香りの特徴を捉えられるといわれている - 7記憶と記録
お酒の名称や分類に、自分が感じた味わいや香りをしっかり結び付けて記憶する
→ 記録することで、今後好みのお酒を見つけるときの参考になる!
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きき酒の際に使える日本酒の味わいの表現についてはこちらの記事を参考にしてみてください↓
きき酒中の注意点

さて、ここでいくつかきき酒をする前・きき酒中の注意点を共有します。
- 二日酔い・体調不良の際は避ける
- きき酒直前の喫煙は避ける
- きき酒前に香りや刺激の強い食べ物を食べない
- きき酒中の私語は厳禁
きき酒前の喫煙は味覚に影響を及ぼすだけでなく、喫煙後の香りが一緒にお酒を飲む人の感覚にも影響を与えてしまいます。
自分以外の人と酒を飲む前には控えた方がよさそうですね。
また、複数人で聞き酒をする場合の私語は厳禁!
自分のコメントがほかのメンバーの感覚を大きく引っ張ってしまうこともあるそうなので気をつけましょう。
『2022 R4BY 松の司 純米吟醸 楽』

『松の司 純米吟醸 楽』はあまりのコスパの良さで純米吟醸にもかかわらず気軽に飲めるお酒。
都内でも比較的手に入りやすいのも嬉しいポイントです。
『2022 R4BY 松の司 純米吟醸 楽』のスペック

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酒米 | 滋賀県竜王町産米 100% |
精米歩合 | 60% |
使用酵母 | 金沢酵母主体 |
日本酒度 | 0 |
酸度 | 1.3 |
アミノ酸度 | ‐ |
原料米は契約農家にて栽培された竜王産の山田錦と吟吹雪。
冷やから燗まで様々な温度帯で楽しめるので、色々な料理を合わせて楽しめるのも魅力のひとつです。
杜氏は昨年(2021 R3BY)の『楽』に同じ、石田敬三氏です。
『2022 R4BY 松の司 純米吟醸 楽』テイスティング

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酒色は黄色がかった透明。
華やかな青りんごと、ほのかに炊いたお米のような香りがします。
冷やで飲んでみると、最初に感じるのは強い旨みとコク。
あとから淡い甘味がじわ…ときます。
飲み込んだ後に鼻を抜けるのは穀物的なこっくりした香り。
余韻は短め、少々舌に残るような苦みを感じました。
全体的に繊細で、やさしくきれいな味わい。
すごく飲みやすいお酒です。
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次は冷酒で。
冷蔵庫でしっかり冷やしてから飲んでみました。
穏やかなお米の香りとほのかに瑞々しい果実を感じる香り。
きれいで雑味がなく、優しい甘味と濃厚な旨味を感じます。
一瞬樽酒を飲んでいるような、木の風味に似た味わいも感じられました。
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そして燗酒も。
香りはかなり控えめになってしまい、少々アルコールを強く感じます。
かすかに感じられたのは穀物的な甘い香り。
燗をつけると全体的におとなしい印象になってしまった気がします。
温められたお酒特有の、舌がぴりりとしびれる感覚がたまりません。
甘味、旨味はそのままに、でもそれよりもきれい且つお上品さが前面に押し出されてきます。
めっちゃ美味しい。
つるつる飲めてしまう系のお酒になってしまいました。
徐々に温度が下がるに従って、冷やで飲んだ時に感じた穀物的な強い旨味が存在感を出してきます。

明太子をアテにすると、マイルドな塩気がお酒のやさしい甘味とマッチしてエンドレスに飲めてしまい、危険でした。
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『2022 R4BY 松の司 純米吟醸 楽』は香りから最後の余韻まで、全編『米』でお送りされた、そんなイメージのお酒だと感じました。
コスパよく美味しいお米の味わいが実現された日本酒を味わいたいならば、これ!だと思います。
個人的にリピート確定のお酒です。
気に入った日本酒の『色』も覚えておこう



自分の好みのお酒に出会った時は、香りや味わいとともにその色も覚えておくといいそう。
日本酒には搾りたてのお酒は緑がかっているけれど、熟成が進むと黄色から褐色感が強まった色になる、などの特徴があります。
色と味は密接に関係しているため、慣れてくると色からも味が想像できるようになってくると言われています。

ひとり自宅で行うきき酒は気楽で、教えてもらったガイドラインに沿って飲むものの実際のところはほとんど自己流で楽しめるのが面白いと感じています。
慣れてきたらいつかは何人かできき酒ごっこをしたら楽しそうだなぁと思ったり。
それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました。
素敵な一日をお過ごしください。
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